日本代表でも特別扱いしない。ラグビー現役時代から続く夫婦円満の理由は?(元ラグビー日本代表・大西将太郎)

 

元ラグビー日本代表選手の大西将太郎さん。2000年(同志社大学在学時)の代表選出以降、2016年まで選手として活躍されてきました。

現在、解説者や指導者として活動されている大西さんは、2児の父でもあります。「大学時代はラグビーが恋人だった」と話す彼に、奥様とのなれそめや結婚を意識したきっかけ、家庭内での役割分担など、リアルな結婚生活について伺いました。

多くの有名アスリートのプロデュースを手がけてきた、しげるちゃんの対談シリーズ第8弾です。

(聞き手:しげるちゃん/文:横畠花歩)

 

ラグビーで、母や姉に恩返し。近くて遠い“花園”へ。

 

しげるちゃん
将太郎くんがラグビーを始めたきっかけはなんですか?

 

大西さん
身近にラグビーがあったことがきっかけです。親戚がやっていたこと、実家が花園ラグビー場(日本高校ラグビーの会場)の近くだったので、野球で言う甲子園が横にあるような感覚で育ったことが理由です。

 

しげるちゃん
当時の環境で、子供のころからラグビーが選択肢にあったんだね?

 

大西さん
そうです。小学生のときは一週間に7つ以上(水泳、ソフトボール、サッカー、バレーボール、バスケ、卓球など)の習い事をしていたんですが、親に「どれかひとつに絞ったら?」と言われて選んだのが、一番自分の性格とマッチしていたラグビーでした。さらに「希望する道に進むにはどのように歩めばいいか」ということを逆算して考えるようになりましたね。

 

しげるちゃん
小学生のころから、自分で選択する機会を与えてもらえてたんだね。でも、送り迎えや遠征のことも考えると、ご両親大変だったんじゃない?将太郎くんはご兄弟はいるの?

 

大西さん
姉が一人います。一番大変だったことは、私学の受験も終え、これからラグビーを頑張ろうというときに父親が亡くなったことです。自分はこのままお金のかかる私学で、ラグビーを続けてもいいのだろうかという葛藤がありました。そのときに母親が「自分の夢を追いかけなさい、お金のことは心配しなくていいから」と背中を押してくれたんです。

 

しげるちゃん
将太郎くんの夢には、お姉さんやお母さんの想いが掛かってたんだね。

 

大西さん
家族には、感謝しかないですね。母と姉のおかげで、自分にできる恩返しはラグビーを極めることだと吹っ切れて、頑張ることができました。そういったきっかけがあって、僕の家族観は培われたんだと思います。自分が家庭の一員であり、家庭内でやるべき役割は何かということをきちんと考えるきっかけとなりました。

 

 

「行ってらっしゃい」背中を押し続けた彼女が奥さんに

 

しげるちゃん
将太郎くんと奥さんとの出会いはプロ入り前だよね?結婚を決めたきっかけはなんだろう?

 

大西さん
大学卒業後に所属した、社会人ラグビーチームのあるワールドという会社で知り合いました。当時僕は23歳で、奥さんは30歳。彼女と付き合いたてのころ、“プロになろうと思う”と相談したとき、「わたしも働くし、いいんじゃない?」と後押しをしてもらったんです。交際を始めたときから「この人と結婚するんだろうな」と思ってたので、プロになるタイミングで彼女との結婚を決断しました。

 

しげるちゃん
彼女のどんなところに惹かれたの?

 

 

大西さん
自分を持ってて、芯がしっかりしてるところですね。結婚に踏み切ったのは24歳のときでしたが、タイミングもありましたね。

 

しげるちゃん
当時は、トップアスリートと結婚って、奥様は“仕事を休止して旦那のサポートに入る”という世の中的な風習みたいなのもあったと思うから、『働く奥様』に関して穿った目で見られる事もあったんじゃない?将太郎くんが大阪以外へのチーム移籍をしたときとか、家庭はどうなってたの?

 

大西さん
僕は単身赴任をしました。

 

しげるちゃん
将太郎くんは、奥様についてきてほしいとは思わなかったの?当時の男性のイメージ的には『お料理作ってほしい』とかさ・・・(笑)

 

大西さん
ついてきてほしい、料理をしてほしいというのはまったくなかったですね。

 

しげるちゃん
そういえば将太郎くんは料理も上手だしね、随分と自立した旦那さんだ!(笑)

 

 

大西さん
料理大好きです!このステイホーム期間に、さらに磨きがかかってますよ(笑)ちなみに僕がラグビー現役のあいだ、彼女はずっと決断を尊重してくれてましたね。ヤマハ発動機へのチームの移籍が決まった時も「どうぞいってらっしゃい」という具合でした。

 

しげるちゃん
お子さんができたとしても、奥さんは単身赴任に何も言わなかった?

 

大西さん
はい、産休中に会いに来てくれたりしてました。

 

しげるちゃん
なるほど。奥様は普段の生活では、旦那さんが不在の中で仕事と子育てを両立してきてたんだよね?

 

大西さん
そうなんです。僕は37歳で引退したんですが、当初思っていたより5年ほど長く現役を続けられたんですよね。そのぶん彼女には苦労も迷惑もかけたなと感じてるので、引退した今は家のことでできることは全部やろうと思ってます。

 

しげるちゃん
奥様はきっと、苦労とか迷惑を掛けられたなんて思ってもいない気がする。

 

大西さん
そうですね、もしかしたら“当たり前”って思ってくれてるかもしれない。でも僕は洗い物でも洗濯でも、やれる人がやるべきだと思うので家事をします。そしてその姿を見て育つ中学2年生と小学校4年生の娘たちには、“男性も家庭のことをする”ことが、普通のことだと刷り込まれてるでしょうね(笑)

 

“アスリートだから支えられて当然”とは思わない

 

しげるちゃん
将太郎くんが、奥さんや娘さんの洗濯物を干したりしてるの想像できないね(笑)。そのうち娘さんが「やだ」って言ったりするのかな?

 

大西さん
今のところはないですけどね、多分めっちゃ綺麗に仕上げてるからかな?(笑)

 

 

しげるちゃん
前に、ママ友が多いっていうお話も聞いたじゃない?将太郎くんは普段家でどんなふうに過ごしてるの?

 

大西さん
オンラインの仕事が増えたり在宅が多い今の時期には、専業主婦のような気分で家事に勤しんでます。帰宅した娘や奥さんに温かい料理を出して、食器洗いに、洗濯に……。

 

しげるちゃん
スーパーへの買い出しなんかもしたりするの?

 

大西さん
はい!毎朝、チラシで安売り情報をチェックしてますよ。得意技は、冷蔵庫にある食材で献立を考えることです!

 

しげるちゃん
すごい(笑)。将太郎くんの描いていた結婚生活と、実際の結婚生活のあいだで矛盾はなかった?

 

大西さん
結婚して20年近く経ちますけど、奥さんとの価値観はずれることなく過ごせてますね。結婚する前も今も、女性が多い家族構成であることが共通しているんですが、その環境に慣れているからか過ごしやすいです。

 

しげるちゃん
『価値観の違い』ってよく離婚の原因に挙げられることがあるけど、それってきっと相手への『思いやり』が減ってきてるからじゃないかしら?女性が外で働くことに肯定的だと言いながらも、実際そうなると反対な意見になっていく男性もいたりしそうだけど。

 

大西さん
そうですね。僕的には、相手に対する思いやりがあれば、相手が働いていても家の仕事に専念してくれたとしても、どちらでもいいんだと思いますよ。それは競技によるかもしれないし、個人の価値観が反映されるものなんだと思います。

 

しげるちゃん
奥様は、産休明けにすぐ復職をしたりと、ほんとお仕事が好きな人なんだね。

 

大西さん
彼女は、結婚するときから一貫して「社会とのかかわりを持ち続けたい」と言ってましたね。

 

しげるちゃん
なんだか今までのお話を聞いてると、奥さんは“デキる”女性の印象だな〜。健太郎くんは何気に奥さんの手のひらの上で転がされてる感じがしちゃうんだけど(笑)。

 

大西さん
まさしく転がされてますよ!先日娘がランク付けした家庭内の立場では、嫁がダントツでトップです。その次に娘がふたり、そしてようやく僕かと思いきや飼っているペットのハムスターが続いて、なんと僕は見事に最下位でした。ハムスター以下!(笑)

 

 

しげるちゃん
ちなみに奥さんはラグビーがもともと好きだったのかな?付き合ってるころや結婚してから、試合を観にきたりはしてた?

 

大西さん
あんまりですね。節目の引退試合なんかは来てくれましたけど、ラグビー観戦は「寒いんだもん」って。

 

しげるちゃん
確かに寒いのわかる(笑)。でもそれって奥さんは、“ラグビー選手の大西将太郎”じゃなくて、“大西将太郎という個人”を見てきたってことだね。将太郎くんがアスリートだからって特別扱いしてない感じがする。本当は試合を観にきてほしいって思ったりしなかった?

 

大西さん
まったく思わなかったです!僕らはお互いを尊重しあってこその関係で成り立ってるので、仮にそう思ったとしても押し付ける気はないですね。

 

しげるちゃん
お二人の話を聞いてると、お互いへの『思いやり』で築きあげられた関係性がステキでほっこりしちゃった。それに子供が小さいころの旦那さんの単身赴任とか、奥様の不安や不満があってもいいのに、きっと将太郎くんは心地よいフォローをしっかりできてたってことだと思う。将太郎くんのような旦那がほしい(笑)これからも素敵なお二人でいてください。

 

 

■プロフィール

大西将太郎(おおにし しょうたろう)
大阪府東大阪市出身。元ラグビー日本代表の解説者。啓光学園高校時代、全国高校大会準優勝を飾り、高校日本代表で主将を務める。同志社大学4年時に日本代表に初選出され、以降2016年まで選手として活躍。現在は、スポーツコメンテーター・ラグビー解説の傍ら、ラグビーの普及活動を精力的に行なっている。

Twitter:@shotaroonishi
Instagram:@shotaro12

しげるちゃん
商品プロデューサー/インタビュアーとして活躍。芸能人やタレント、モデル、スポーツ選手など、様々な業界の著名人との交流が深く、自身がプロデュースするアイテムは、そんな多くの著名人が愛用することで知られ、メディアやSNSでも話題に上がる。また、CS局の旅番組にも多数出演、海外のファッション・流行などをナビゲートしている。

Instagram:@shigeru39

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