美しさだけでなく、強さも磨く。アスリートとメイクの関係性とは

花田真寿美さんの写真

アスリートを支える職業には指導者、トレーナー、栄養士など、多種多様な人たちがいます、その中でも、アスリートビューティーアドバイザーという職業があるのをご存知ですか?

アスリートビューティーアドバイザーとは、現役・引退後のアスリートを対象に、内面、外的要素の両面のビューティーサポートを行なうお仕事。花田真寿美さんはオリンピック、パラリンピックのメダリストや出場者、内定者、実業団選手、各連盟などのトップアスリートを始め、大学生、元アスリートに対してビューティー面のコンテンツ提供をしています。

そんな花田さんに、美容がアスリートをどうサポートし、競技や生活でどんな結果を出すことができるのか、その影響力を聞きました。

 

はじまりは自身の外見コンプレックスから

バドミントンの写真

わたしがアスリートの方に提供するビューティーコンテンツとは、試合時や表彰式前、メディア対応時、プロフィール撮影時などのメイクアップ同行や、各競技団体やチーム、教育機関へのメイク講座などです。“ビューティー”には、ファッションやスキンケア、食、自分の魅せ方(ブランディング)、メンタル面など、メイク以外のことも含んでいます。私はそれぞれ専門家の方々をコーディネートして、講座内容の考案を行なっています。

このような活動を始めたのは、私自身がおしゃれを封印しなければいけない環境の中でアスリートをしていたのがきっかけです。高校時代、強豪のバトミントン部で泣く泣く角刈りにしていました。その上、メイクもできずニキビ面で長身で、外見にとてもコンプレックスがありました。

その後、大学に進学するとバドミントン選手として燃え尽きてしまいました。「私は何をしてもダメなんだ」と自己肯定感が下がり、自分の顔も嫌いで、暗闇の部屋でメイクをするほど。

しかし、モデルに転身したことが自分の人生をとても前向きに変化させることになりました。モデルとして内面も外見も自分を磨いていく中で、「新しいことに挑戦してみよう」「会ってみたい人に会いに行こう」という気持ちの変化がありました。自分を磨くことで心も変えられたのです。

このメンタルから表れる行動の変化を、現役時代や引退直後の自分に伝えたかった。同じように悩んでいる人がいるはずだと思い、4年前からアスリートビューティアドバイザーの活動を始めました。

 

■関連記事はこちら

 

「自然と背筋が伸び…」メイクがもたらす変化

メイクの写真

これまで色々なアスリートの方をサポートしてきた中で、いくつもそんな“変化”を見てきました。

実業団のハンドボール選手に、記者会見時にメイクアップをした時のこと。彼女は人前に立つと緊張し、カメラに苦手意識がありました。普段はすっぴんでいることが多いということで、本人がメイク後の自分の顔を見ても違和感を感じて恥ずかしくなったり、「早くメイクを落としたい…」と思わないメイクアップにする必要がありました。

これは当たり前のことのように聞こえますが、実際にデパートなどでメイクをしてもらったけど、違和感を覚えてすぐに落としたというのはよく聞く経験なのです。

特にその記者会見はユニフォーム着用だったので、服装になじむようなナチュラルメイクをしました。健康的でフレッシュな印象を出すために、チークと口紅で血色感を加え、力強い印象を出すために眉山をしっかりと作り、消えやすい眉尻には、汗や皮脂でメイクが落ちにくいように眉トップコートを重ねました。

記者会見後には彼女から「カメラの前で自然と背筋が伸びた。堂々と発言することができた」という言葉をいただきました。ナチュラルなメイクアップであっても、メンタルはこんなに変わるのです。

ハンドボール選手の記者会見

 

“戦いの場”でもメイクは武器になる

パラバドミントン選手からは、競技中の悩みについてこんな相談が。「試合中に緊張すると、唇が青くなる。相手にバレたくないので似合う口紅を教えてほしい」。そこで彼女の肌色に似合い、試合時のユニフォームにもなじむ口紅の画像と品番を伝えました。一緒に買いに行ってアドバイスすることもあります。

また、先日はゴルフのプロテストに合格したばかりで、これからツアーが始まるというゴルファーが「プロとしてこれから見られる立場になるので、メイクを取り入れたい」とメイク講座に来てくれました。「メイクはスポンサー獲得にもつながると思っている」と話していた彼女はメイクレッスン後、「メイクでこんなに変われるなんて驚きました。今はまだ時間がかかるけど、毎日取り入れてみます」と気に入ってくださったようです。

もちろんメリットは現実的な利益だけではありません。他にもバドミントンのオリンピアンは、リハビリ期間中に「今までなかなか取り入れてこなかったメイクを学びたい」とレッスンに来てくれました。リハビリの中でのリフレッシュにもなっているようです。

メイク道具の写真

 

メイクする=“勝ちメンタル”。もう一歩前に進みたいアスリートへのすすめ

それでも、アスリートにメイクは必要なのかと疑問に思う人も多いのではないでしょうか。実際に結果を残すトップアスリートでも、メイク姿がネット上で悪く言われることがあります。

一方で、採点競技であるフィギュアスケートや新体操、アーティスティックスイミングでは、メイクをすることが当たり前です。それなのに、他の競技のアスリートがメイクをすることで批判が生まれることに疑問を感じてきました。

私が考えるメイクのメリットは、メンタル面にプラスの影響が出ること。周囲に与える印象が変わることです。例えば、トップアスリートのトレーナーとは「メイクをするって、“勝ちメンタル”だよね」と話しています。メディアに撮られるためにメイクをしているということは、つまり勝つこと、見られることを前提として競技に取り組む姿勢なのではないでしょうか。

花田真寿美さんのメイクを受ける女性アスリートの写真

普段からメイクをする方は、このような経験をしたことがあるはずです。すっぴんで街中や電車を歩くことになった時「なるべく誰にも会いたくないな」と思ったり、自然と目線が下がったり猫背になったり。逆に美容院の帰りや、美容部員さんにメイクをしてもらった日は「このまま家に帰るのはもったいない、誰かに会いたいな。予定を作ろう!」と。メイクをしたり、自分の身なりに自信を持つことは、プラスαの行動につながるのです。

また、メイクをして目力がアップすると「意志が強そう」「自信がみなぎっている」「気が強そうだ」と相手が受け取る印象も変わります。「プロとして活動できているのは、自分の力だけではない。家族、スポンサー、ファンの方々がいるから。その方々の期待に応えるためにも、身なりを整える必要がある」と話すのは、男子プロバスケットボール選手でした。

試合中だけではありません。柔道選手の方は、オフの時にメイクをすることでリフレッシュでき、オン・オフのメリハリがついて練習により集中できるようになったと話していました。

もう一歩前に進みたい、自信をつけたい、積極的になりたいという方に、メイクは後押しをしてくれます。

 

まずはここから!ワンポイントメイクのコツ

リップクリームの写真

今までスポーツ一筋で、なかなかメイクに触れ合う機会がなかった方もいらっしゃるかもしれません。そんな方でも取り入れやすいアイテムが、色付きリップです。ドラッグストアのリップクリームコーナーにも置いてあります。淡いピンク色であれば馴染みやすいですし、自分の表情がほんのり明るくなる瞬間を楽しめます。ぜひ挑戦してみてくださいね。

 

■プロフィール

花田真寿美さんの写真

花田 真寿美(はなだ ますみ)

1987年生まれ、富山県富山市出身。元バドミントンアスリート。全国高校選抜団体三位。

愛知県新人ダブルス二位。インカレ出場。角刈りニキビ顔がコンプレックスでお洒落とは無縁な高校時代を過ごす。大学進学後は燃え尽き症候群となり、外見へのコンプレックスを克服するためにモデルに転身。ミスユニバース愛知ファイナリスト、World super model japanエリア代表など華やかな世界を経験するも、摂食障害となり“心が元気じゃないと幸せではない”ということを痛感。

女性が見た目だけの美しさにとらわれず、“ひとりひとりにあなただけの価値がある”ということに気づき、心から幸せになることを応援する「Precious one」を立ち上げる。現在、アスリート、一般女性を問わず、自分らしさを磨くためのセミナー・イベントを開催中。

RELATED

PICK UP

NEW