間違えるとケガにもつながる?専門家が教える意外と知らないストレッチの基本

理学療法士の小林ちさとです。運動前のストレッチが大事であることは多くの人が知っていると思いますが、小学校の体育で習ったものをなんとなくずっと続けていませんか?ストレッチは、フォームとタイミングを正しく行わなければ、逆にケガをしやすくなってしまうもの。意外と知らない安全で効果的なストレッチ方法をお教えします。

ストレッチの基本ポイント

①筋肉の向きに合わせて伸ばす

筋肉の付いている端と端を離すように、筋肉の向きに沿ってストレッチをします。向きが合っていないと、関節が圧迫される痛みのみで筋肉がストレッチされていない可能性があります。あなたがやっていたストレッチは筋肉の向きを意識して伸ばせていますか?

②痛みがある場合は無理やり伸ばさない 

筋肉が硬い状態では、ストレッチをしても効果がありません。この状態で筋肉を圧迫すると痛みが出たり、力を抜こうとしても筋肉が緩まなかったり、「筋攣縮(ひきつり)」を起こします。まずは筋肉を優しく揺らすなど、マッサージのような方法で筋肉を緩めることが効果的です。

ストレッチの種類と効果的なタイミング

ストレッチの種類

①スタティックストレッチ:反動や弾みをつけずに筋をゆっくりと伸ばす

筋を伸ばした状態で30~60秒止まります。痛みが出る強さの方が効くような気がしますが、力が入ってしまうとストレッチ効果が得られにくいです。痛みが出る手前で止まり、じんわり伸ばす感じで行うと効果的!最も安全に行えるストレッチなので、運動初心者さんにオススメの方法です。

②バリステックストレッチ:反動をつけて伸ばす

ペアになり相手に背中を反動をつけて押してもらう、または自分で反動をつけてアキレス腱を伸ばす方法です。スポーツ選手が運動前に用いることがあります。反動をつけるためケガのリスクもありますが、背中や体側のように肉離れが起きにくい部位には効果的。内ももや太ももの後面は肉離れのリスクがあるため、柔軟が苦手な人には不向きかもしれません。

③ダイナミックストレッチ:反対の作用の筋肉に力を入れて、狙った筋肉を伸ばす

リズミカルに関節を屈伸することで、神経系の反射メカニズムを利用しストレッチします。たとえば、ひざを伸ばしたまま脚を上げ、下から蹴り上げるような運動(図を参照)をリズミカルに行い、太もも後面の筋肉を緩めるといったストレッチが挙げられます。

ハムストリングスのダイナミックストレッチの図

ハムストリングスのダイナミックストレッチ 文光堂「運動療法学」より

ひざだけでなく、足首などの関節でも効果があると言われています。例えば20回の足首曲げ伸ばしをリズミカルに行う運動は、20分間のスタティックストレッチと同等の効果があると言われています。

どのストレッチが正しいというのではなく、ご自身に合った方法を選べると良いですね。

ストレッチの適切なタイミング

やり方にもよりますが、運動前にゆっくり筋を伸ばす(スタティック)ストレッチを行うと、筋肉の瞬発力が低下するためパフォーマンスが落ちる可能性があります。

運動前などウォームアップのタイミングでは、バリスティックストレッチやダイナミックストレッチのような、からだが温まり心拍数が少し上がるような方法が良いとされます。四つん這いの姿勢や立って行えるストレッチは、体幹の安定性のスイッチを入れることができ、運動前には適しています。

運動後のクールダウンや就寝前は、疲労回復やリラックスを目的としたスタティックストレッチがおすすめです。就寝前に心拍数が上がるようなストレッチをすると、睡眠が浅くなる可能性がありますので、ゆっくりとリラックスできるものを選びましょう。

運動前に安全・効果的なストレッチ方法を実践!

日常で硬くなった部分をほぐす。上半身のストレッチ

スマートフォンを見る際やPC作業中、ソファーに座る時など、ついつい猫背になり腰が後ろに倒れていませんか?運動前には、こういった日常の動作で硬くなっている部分をほぐしてから運動を始めましょう。

上半身で固くなりやすい部分は、胸の前と肩甲骨の間です。

胸の前(大胸筋) 医学書院「プロメテウス解剖学アトラス」より

肩甲骨の間(胸椎) 医歯薬出版「カパンジー機能解剖学」より(一部改変)

猫背の人はこの部分が硬くなるため、胸を開くストレッチや背中を伸ばす次のようなストレッチがオススメです。

①胸の前のストレッチ

バンザイの姿勢から、肘を後ろへ引きながら下げていきます。20回ほど行ったら、肩が少し後ろへ引きやすくなったか確認してみましょう。

②背中のストレッチ

肩甲骨の間の背骨(胸椎)を反らせます。ラクに呼吸をし、吐く息ごとに背骨がさらに下がり床に近づくと良いです。20秒を3回行い、立った状態や座った状態でアゴを引きやすくなるか確認してみましょう。

また、これを応用し、胸をひねるようにして片手を天井へ伸ばし、もう一方の手で床を押すようにすると更に効果が高まります。

開脚ストレッチは最初にやってはいけない?下半身の効果的なストレッチ

運動前のウォーミングアップで、いきなり開脚ストレッチをするのは危険です。筋肉が温まっていない状態での下半身のストレッチは、肉離れなどのケガの危険性があります。

ウォーミングアップでは、座った状態でじわーっと伸ばすスタティックストレッチよりも、反対の筋肉に力を入れるダイナミックストレッチがオススメです。

①太もも後面のストレッチ:ジャックナイフストレッチとその応用

しゃがんだ状態でお腹と太ももを付けます。手は足首に添える、または床についておきましょう。お腹と太ももが離れないようにしたまま、ひざを伸ばしお尻を上に向けます。

10秒キープを5回×2セット行い、前屈の柔軟性を確認してみましょう。

②お尻のストレッチ

四つん這いの姿勢から腰が丸まらないように意識しつつ、お尻を斜め後ろへ引きます。脚の付け根に詰まる感じがある時は、後ろに引きすぎず横へスライドするようにしましょう。

左右20秒×3回を目安にやってみましょう。

③アキレス腱のストレッチ

アキレス腱が硬い人の多くは、足首の関節がうまくはまり込んでいないことが多いです。アキレス腱を伸ばしているつもりが、足首の前面がつまり、効果的に伸ばせていないかもしれません。普段のアキレス腱ストレッチの前に、足首が正しい位置で伸ばせているか確認してみましょう。

この写真は悪い例で、足首からつま先にかけて力が入っています。足の甲にピキッとスジが浮き上がった状態は、足首がうまくはまり込んでいないことが多いです。小指側に傾いてストレッチしている人に多く見られます。

正しい例では足首からつま先の力が抜け、足の甲のスジが浮き出ていません。少し親指側から引っ張るようにすることがポイントです。20~30秒間じわーっと伸ばします。しゃがみ込みやすくなったか、効果を確認してみましょう。

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