野菜だけで筋肉は作れる?有名アスリートがベジタリアン食生活を選ぶワケ


アスリートにとって、食事はトレーニングの一種。筋合成のため、たんぱく質として肉は欠かせない存在だと考える人も多いのでは?しかし、肉を食べなくても筋肉を作ることはできるんです。

近年プロアスリートの中で、ベジタリアン(菜食主義)の食事を選択する人が急増。なぜ、肉食ではない食生活を選ぶに至ったのでしょうか?有名アスリートたちがベジタリアンになった理由を見てみましょう。

そもそも、ヴィーガン/ベジタリアンって何?

ヴィーガンやベジタリアンに対し、なんとなく「野菜中心、お肉を食べない」イメージは持っている人も多いのでは?しかし、厳格にはそのふたつはイコールではありません。人によって何を食べていいか許容範囲が異なり、厳格な食事制限をする人もいれば、魚も食べられるという人もいます。

■ベジタリアンとは

ヴィーガンを含む、菜食主義の総称。人によって何を食べるか選択が異なるため、名前が細分化されている。以下が主な主義。

・ヴィーガン…完全菜食主義者。肉や魚だけでなく、動物から得られる卵や乳製品、(厳格な人は)はちみつも摂取しない。
・ラクト ベジタリアン…乳製品と植物性の食品を食べる
・オボ ベジタリアン…卵と植物性の食品を食べる
・ラクト オボ ベジタリアン…乳製品・卵・植物性食品を食べる
・ペスクタリアン…魚介や卵・乳製品・植物性食品を食べる
・フルータリアン…果物や果物野菜、ナッツのみを食べる

ジョコビッチ、メッシも…ベジタリアンアスリートを紹介

このように様々な選択がある中で、アスリートはそれぞれ自分に合った食事方法を見つけています。そして、ベジタリアンに至った理由も十人十色でした。

ノバク・ジョコビッチ(テニス)

 

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グルテンフリー生活を行っていることで有名なジョコビッチは、グルテンだけでなく肉も摂取していません。そのきっかけは、厳しい試合やトーナメントの終わりに近づくと体が疲れ果て、年齢を重ねるにつれて体調が優れないと感じることが増えたため。その中で食事療法としてベジタリアン生活を取り入れました。

魚を食べることもあることからヴィーガンとは自称していないものの、2018年に公開されたアスリートと植物性食品の関係に迫るドキュメンタリー映画「ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実」にも登場しています。

ヴィーナス・ウィリアムズ(テニス)

 

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ヴィーナスはロー・ヴィーガンという、加熱されていない食材のみを摂る生活を送っています。きっかけは2011年に医師から「シェーグレン症候群」(関節や筋肉の痛みを引き起こす疾患)と診断されたこと。それまで慢性的な痛みやだるさに悩まされていましたが、イギリスのメディア「ガーディアン」の取材では、この食生活が「テニスができなくなった、私の人生を変えてくれた」と話しています。2014年には再びツアー優勝、2015年には年間最終ランクトップ10に返り咲きました。

リオネル・メッシ(サッカー)

 

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バロンドールを6度受賞したメッシも、シーズン中はプラントベースの食事を摂っています。チョコレートなどの糖分が多いお菓子や、肉食を好んでいたメッシは体のだるさなどの不調が現れ、プレーにも支障が出るように。そこで管理栄養士のアドバイスによって食事管理を徹底することになったという。サッカー界は特にヴィーガン、ベジタリアンが増えている競技です。

アレックス・モーガン(サッカー)

 

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アメリカ女子サッカー代表のモーガンは、2018年からヴィーガン食に移行。きっかけは彼女の同僚や、パートナーのサッカー選手、セルヴァンド・カラスコがヴィーガンだったこと。彼女は「USAトゥデイ」の記事で、「ヴィーガンのプロアスリートとしてトップレベルでプレーできるとは思っていなかった。どちらかといえば、ヴィーガン食は私をより強くし、疲労と回復を助けてくれる」と語っています。またワールドカップ中もチームシェフがモーガンのためにヴィーガン食を用意し、それをチームメイトにも勧めたのだとか。

モーガン・ミッチェル(陸上競技)

 

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リオオリンピックの女子4×400メートルリレーのオーストラリア代表選手。今は距離を伸ばし、800メートル走に挑戦しています。2016年に当時のパートナーと共にヴィーガン食を試したミッチェルは、体の回復力や体重コントロールのしやすさ、また病気をしにくくなったことなど好影響を感じてヴィーガン食に移行。地元メディア「シグネット」の取材では「ヴィーガンになった途端、400メートル走の自己ベストを秒単位で更新した」とコメントしています。

ジェヒナ・マリク(ボディービル)

 

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アメリカのボディービルダーのマリクは、生まれながらのヴィーガン。19歳からボディービルダーとなり、2013年のアメリカ東部大会などで優勝しています。植物性のみで作り上げたとは思えない肉体ですが、その秘訣は3時間おきに食事を摂ること、不足する栄養素はサプリメントで補うこと、ヴィーガンチキンや数種類のヴィーガンプロテインを摂取すること。

その他にも、ルイス・ハミルトン(レーシング)やカール・ルイス(陸上競技)ティモシー・ブラッドリー(ボクシング)らもヴィーガンの選手(元選手)として知られています。

ベジタリアンでもハンバーガーが食べられる?

このように、回復力や健康上の理由、倫理的(エシカル)な選択など色々な理由でアスリートたちはベジタリアンとなっています。しかし野菜中心の食生活だからといって、ガマンばかりしているわけではありません。

たんぱく質の摂取も、最近は大豆だけでなく、えんどう豆から抽出したピープロテインなど様々な選択肢があります。また、お肉のような味と見た目のヴィーガンフードもあり、ヴィーガンソーセージやヴィーガンハンバーガー、ラーメンから餃子、唐揚げまで、ジャンクな食べ物だって食べられるんです。


これもヴィーガンバーガー

一方で、ベジタリアン生活はビタミンB12など欠乏しやすいビタミンもあるため、食事法によっては不調を感じることも。そのためプロアスリートたちは管理栄養士をつけたり、サプリメントを摂取したり、自分に合う形を探して調整しています。

一概にベジタリアンの食生活を推奨するわけではありませんが、もし肉が自分には合わないと感じたり、体の変化のために必要だと感じたりする人には、ひとつの選択肢になるはず。

出典:The Sun, The Guardian, BBC , USA TODAY, Signet, Bleacher Report

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