生理期間は特に注意。トレーニングするなら知っておきたい膝と関節の知識

トレーニング中の女性の写真

トレーニングが習慣化されてきたときほど、気をつけたいのが怪我のリスク。負荷を高めたり、慣れてきてフォームが崩れたりすると、関節に大きな負担がかかり痛みを発症することがあります。特に女性は、男性に比べて靭帯がゆるみやすいと知っていますか?

関節などの再生医療に特化した整形外科、お茶の水セルクリニックの寺尾友宏院長と、東京大学大学院医学系研究科 整形外科 准教授の齋藤琢先生にお話を伺いました。

お茶の水セルクリニック 寺尾友宏院長(左)、東京大学大学院医学系研究科 整形外科准教授 齋藤琢先生(右)

ケガを予防するために一番大切なことは?

自己流ではなく、専門トレーナーの指導を定期的に受けよう

寺尾医師
適切な負荷と正しいフォームです。最近は一般の方でも、トレーニングや競技のレベルが上がってきています。それはとてもいいことなのですが、自己流の練習でケガをする人も増えています。筋トレはもちろん、有酸素運動であるランニングでも、疲れてくるとフォームが崩れていきます。定期的にトレーナーに見てもらうことをおすすめします。

生理中はケガをしやすいって本当?

靭帯がゆるみ、ふんばりがきかないことも

齋藤医師
女性は、ホルモンバランスによって靭帯の強度が変わります。これは、出産時に骨盤が開きやすくするためです。生理期間中も同様に、靭帯がゆるくなるため、捻挫をしやすくなったり、靱帯を痛めやすくなるといった傾向が見られます。急に方向転換しただけで膝の前十字靭帯を切断するといったケースが、プロのスポーツ現場でも起きています。

月経周期と靭帯損傷の関係はまだ不明なことが多いですが、「いつもより動きにくいな」という違和感を感じたら、無理をしないことが大切です。

男性のトレーニング動画を参考にしてもいいの?

理想的なフォームは男女共通

寺尾医師
基本的には、理想的なフォームは男女共通であるはずなので、男性のトレーニングを女性が参考にしても問題はありません。無理が出るのは、重量の設定です。自分の筋力を超える重量を扱う場合、フォームが崩れやすくなります。そうなるとケガもしやすくなります。あくまでフォームのお手本として参考にするのがいいでしょう。

ケガを防ぐためにも、段階的にももとふくらはぎの筋肉をつけてから、重量を上げていくようにしてください。

また、深部筋(インナーマッスル)を鍛えることでケガを防ぐことも可能です。

もし痛みが出たらどうしたらいい?

捻挫の場合は動かすことも回復につながる

寺尾医師
競技中に、フィールドを走りながらケガをした場合は緊急性が高いのですが、それ以外のトレーニング中に感じた違和感や、じわじわとした痛みであれば、2、3日安静にして様子を見てみても大丈夫でしょう。

慢性的に痛みや動かしにくさが続くようであれば、安静にするよりも動かしたほうがいいケースもあります。動かさないことで関節が固まってしまうと、症状が悪化するからです。

軟骨は適度な摩擦を加えることで修復が早まります。捻挫の場合も、患部を冷やして痛みを和らげながら、低負荷でゆっくりと動かすことで早い回復が期待できます。膝の痛みの場合は、軽い重量のレッグプレスも効果的です。

女性のからだづくりで注意すべきことは?

トレーニングは絶対に続けて。皮下脂肪を落としすぎないように

寺尾医師
最近のトレーニングブームは、整形外科医師として大歓迎。動かすことで関節は強くなっていくので、どんな運動でも膝の保護につながっていきます。

減量やダイエットを目的とする方に注意してほしいのは、皮下脂肪を悪者にしすぎないこと。皮下脂肪が少なくなりすぎると、骨密度も低下してケガにつながります。また、脂肪から分泌されるホルモンもあるため、ホルモンバランスの乱れを引き起こす可能性もあります。

長年スポーツ現場でアスリートを見守ってきた寺尾医師によれば、痛みがあってもトレーニングをやめられなくなってしまう選手が多いそう。ストイックにジムに通う女性の中には、共感する人もいるのではないでしょうか。長く習慣にしていくためにも、ケガ予防の意識を持ちながらトレーニングに励みましょう。

取材協力:お茶の水セルクリニック
https://ochacell.com/

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