「美容院代が人より・・」ボートレーサー・大山千広選手の海水対策と美容法

 

ボートレーサーだった母親の影響で、競技の世界に飛び込んだ大山千広選手。2019年には、最年少でのレディースチャンピオン優勝、賞金女王に輝きました。『ボート界のニューヒロイン』とも呼ばれる大山選手は、レースを離れると「美容やファッションがすき」という『普通の女の子』の一面を覗かせます。

毎年行われる女子選手のファン投票では、3年連続で1位を獲得。年々、同性からの支持も伸ばしている大山選手に、日々の美容方法や「強さと美しさを兼ね揃える」秘訣を伺いました。

聞き手:小田菜南子、文:横畠花歩

 

■プロフィール

大山千広(おおやまちひろ)

福岡県出身、福岡支部所属のボートレーサー。2015年にデビューし、2019年には最年少でのレディースチャンピオン優勝、賞金女王に輝く。女子選手のみで競われる“レディースオールスター”では3年連続のファン投票1位を獲得。5月25日~30日にボートレース若松(福岡県)で開催される、SG「第48回ボートレースオールスター」ではファン投票3位を獲得し出場が決定している。(※SG・・・グレードの高い競走)

 

「大切なのは自分を知ること」大山選手流の美容法

 

小田
今日はよろしくお願いします。ボートレースはずっと潮水にさらされているイメージですが、髪も肌も相当のダメージを受けますよね。大山選手が毎日やっている美容法などはありますか?
大山さん
肌荒れ対策に、顔にイオン導入のパックをしています。一番の天敵は、やはり海水ですね。レースが終わったらすぐに海水を落とすことを最優先しています。髪の毛が濡れたまま1日中過ごすこともあって、美容室に行く回数が人よりも多いので、お金は掛かりますね(笑)
小田
美を保つ努力が見えます!肌や髪以外で、気をつけていることはありますか?
大山さん
美容のためではないですが、ボートレースは体重が勝敗に影響するので、レース前の減量時に、ファスティングを取り入れてます。ストイックなやり方はしないけど、簡単なファスティングだと調子がいいですね。

小田
最近はアスリートの方もファスティングを取り入れる方が増えていますよね。ボートレースで勝つためには、軽いほうが有利なんですか?
大山さん
体重が軽い分、ボートに対する水の抵抗が減ってスピードが出やすくなります。女子選手の最低体重は47kgに設定されていて、毎回減量には苦労していますね。
小田
大山選手流の、減量のコツはありますか?
大山さん
自分が「何を食べたら太るのか」を把握してます。私は炭水化物で太ってしまうタイプなので、たとえばパンを食べると太りやすいんです。でも、お肉は食べても太りにくい。自分の身体を把握することで、食べるものを調整するのが一番効率がいいなと思いました。
小田
どの食品との相性がいいのか、自分の体で実験をする感じですね。
大山さん
そうですね。ただ、ストレスを溜めると反動がくるので、あまりストイックにやりすぎないようにしています。
小田
レース中は「飲まず食わず」と伺いましたが、レースが終わってから食べたい『ご褒美ごはん』ってありますか?
大山さん
絶対に、焼肉です!一週間のレース期間が始まる前と後は、だいたい焼肉に行きます。絶対に頼むのは、タンです。普段はお酒を飲みませんが、レースが終わったときだけはお酒を飲みたくなるので、お酒も(笑)
小田
お酒は何を飲むんですか?
大山さん
ビールです!減量の最終手段で、水分を抜くためにお風呂に長く浸かるんですが、湯船ではみんな「ビール飲みたい」って言ってます(笑)

 

ボートレースは男女混合。女子が男子に勝つ楽しさ

小田
大山選手は、ボートレーサーだったお母さんの影響で競技を始めたとお伺いしました。実際に競技をやってみて、イメージと違った部分はありますか?
大山さん
ボートレースは、6人でスタートを切って勝てるのは1人だけ。負けが多い競技なんですが、こんなに“精神的なタフさ”が求められるとは思っていませんでした。
小田
戦う舞台は男女混合ですよね。女性選手が男性選手よりも有利なのは、どんなところですか?男女差はどういうところに表れるのでしょうか?
大山さん
水の上という不安定な場所でスピードを出し船を操るための、筋力の違いによる『パワーの差』はどうしても出てしまいますね。一方、女性の方が体重が軽いところは有利です。
小田
男女混合ならではの楽しさは何でしょう。
大山さん
動体視力、反射神経、瞬発力……どれを取っても男女差はどうしても生まれるので、女性が男性に勝てる競技ってなかなかないと思うんです。でも、ボートレースは男女差があっても「勝てる可能性」がある、夢のある競技だと思ってます。

小田
かわいい笑顔には同性の私もキュンとしてしまうのですが、大山選手のファンには女性も多いんですか?
大山さん
圧倒的に男性が多いです。でも、ときどき同世代の女性のファンの方からお手紙をいただいたりするんです。親近感を抱いていただけてるように感じて嬉しいですね。わたしも、普段は「普通の女の子」なので(笑)。
小田
同性のファンは、大山選手のどんなところに惹かれてると思いますか?
大山さん
お手紙では、「同世代で頑張っていることに元気をもらえる」と言ってもらうことが多いです。勉強も運動もとりわけ秀でたわけでもなかったわたしが、誰かの『元気の源』になれるなんて、いまだに信じられないです。
小田
ボートレースの女子選手の数は年々増えてきてるんですよね。
大山さん
母の時代に比べたら女子選手の数も増えましたし、CMなどを通じて「女子もいるんだ」と知ってもらえるようになってきたと思います。わたしはいい時期に選手になれたな、と。これから女性のファンも増えていってほしいなと思いますね。

 

「落ちても、また上がればいい」。トップランクにいても、発展途上。

 

小田
大山選手は現在、級別のランクで『A1』という最高位にいます。先ほど、「ボートレースは負けの多い競技」とおっしゃっていましたが、レースの結果次第で落ち込んだりはしますか?
大山さん
最近、落ち込むことが増えました。母はこれを30年間も続けていたのだと思うとすごいなと思います。タフな気持ちが必要なんだな〜と。
小田
以前よりも、結果を重く受け止めるようになったということですか?
大山さん
がむしゃらに上を目指していた時期と、いざ『A1』ランクに上り詰めた今と、確実に変化があります。「A1なんだからもっと頑張らなきゃいけない」という、感じなくてもよいプレッシャーを掛けるようになってしまって。
小田
周囲からというよりは、自分自身との戦いですね。その感情とは、どんなふうに向き合ってるんですか?
大山さん
今がまさにその時期なんですが、「まだまだ上にいくための成長段階なんだ」と思うようにしています。

小田
お母さんからのアドバイスを受けたりしますか?
大山さん
母自身も経験したんでしょうね、「落ちてもいいんだよ」って言われます。ランクを落としたくないというプレッシャーで、無理をして事故を引き起こすよりも、「一回落ちてもまた上がればいいんだよ」と。

小田
「もし落ちたらどうしよう」と思ってしまうとき、ファンの顔がチラついたりしますか?
大山さん
しますよ。「大山千広、調子悪いじゃん」って思われてるだろうな、とか…。でもそれはわたしの考えすぎもあるんです。わたしの調子の良し悪しに限らず、応援してくださる方はいるので。
小田
ボートレース場は、選手とファンの距離が近いイメージですが、応援の声って聞こえてるんですか?
大山さん
レース中は聞こえませんが、レース直前まで声援が聞こえたり、名前入りのタオルを持って応援してくださっている方の姿も、ちゃんと見えてます。
小田
「ボートレースオールスター」への出場も控えていますが、今後の目標を教えてください。
大山さん
わたしは昔から、スポーツや勉強が得意なわけではなくて。そんなわたしが、誰かが「がんばろう」と思えるきっかけを作れる仕事がボートレースなんです。こんな素敵な職業ってないと思うので、これからも誰かに元気を届けられるような走りを続けていけたらなと思います。

 

■プロフィール

大山千広(おおやまちひろ)

1996年福岡県生まれ、福岡支部所属のボートレーサー。2015年に116期としてデビューし、2019年には最年少でのレディースチャンピオン優勝、賞金女王に輝く。5月25日~30日にボートレース若松(福岡県)で開催される、SG「第48回ボートレースオールスター」への出場が決定している。

RELATED

PICK UP

NEW