心配だった産後復帰。夫・K太郎さんを変えた杉山しずかさんの強い意思

K太郎さんと杉山しずかさんの画像

1児の母で女子格闘家の杉山しずか選手を支えるのは、同じく格闘家として活躍している夫のK太郎さん。過酷な舞台で戦い続ける格闘家夫婦は、リングの外で育児にも奮闘しています。当初はしずかさんの復帰を止めたいとも思っていたK太郎さんが、いつか子どもに見せたい姿とは。

(聞き手・竹中玲央奈/編集・小田菜南子)

理解しあえる気楽さと、気遣いのバランスを

僕たちはお互いの知人の紹介で出会いました。僕の一目惚れですね。性格も優しくて、すぐに惹かれました。格闘技は普通の人からは理解してもらえない部分もあると思うので、夫婦で格闘家ということはすごく助かっています。同じ悩みを共有できたり、忙しい時を分かってくれたりしているのは大きいですね。彼女の前では自然でいられます。自然にしすぎて家事もせずにダラダラしているのはまずいな、というプレッシャーもありますけど(笑)

K太郎さんの画像

彼女はあまり家事の分担をきっちり決めたいタイプではないので、困ってたらお互いに助け合うという感じ。特に洗濯や子どもの送り迎えを担当することが多いです。ただ、子どもが生まれた直後はあまり支えられていなかったかな・・・。夜泣きがひどい時期に、自分があやそうとしてもうまくいかず、彼女に任せてしまうことが多かったことを今は反省しています。

K太郎さんの画像

僕はほぼ毎日トレーニングがあり、ジムで指導もしているので、帰る時間は不規則です。普段はどうしても彼女の負担のほうが多くなってしまっているので、せめて彼女の試合が近いときは自分が頑張ろうと思っています。試合の時期に生理や体調不良が重なってしまうこともありますし、そういうときはできるだけからだづくりに専念してほしいので。

リスクを背負って、子どもを産んでくれたことに感謝

女性アスリートは出産を機にキャリアが短くなってしまうこともあるので、出産のために頑張ってくれたことに感謝しています。産後に現役復帰するまでの頑張りは、今振り返ってもすごいなと。自分だったら、そのまま現役を辞めてしまっていたかもしれない。特に復帰戦に向けての減量は大変だったと思います。たぶん10か月以上はトレーニングができていなかったですからね。男性であれば大怪我さえしないかぎり、そんなことはないので…。

しかも、出産後のほうがからだつきは良くなっているんですよ。以前はあんなに腹筋も割れていませんでしたから。一度出産でからだの変化を経験しているので、食事を含めた効果的なトレーニングの方法を追求していったんだと思います。

その後も具合が悪くなったり、精神的に安定しない時期があって、どうしたら良いか分からないこともありました。自分なりにサポートをしても、そのやり方に対して文句を言われてしまって。それにまた僕が言い返して、喧嘩になることもありましたけど、今は受け入れられるようになってきたかな…。

K太郎さんの画像

出産=引退という風潮を変えるために

実は僕自身、産後復帰を純粋に応援できない時期もあったんです。当然ながら格闘技は危険を伴うので、夫としては心配になりますよね。でも、出産後の彼女を見て、気持ちが変わりました。彼女は妊娠しているときも『いつかまた格闘技をやろう』と考えていましたし、競技を辞めて育児に専念したいと言ったことは一度もなかった。本当に意志が強い人です。

どうしても女性アスリートは出産を機に引退という風潮がありますよね。もちろん復帰するのが難しいのも事実なので、周囲のサポートは必要だと思います。どういうサポートや環境があれば復帰しやすいのか、スポーツ界全体で考えていかないと。

K太郎さんの画像

日本はまだまだ奥さんのほうが家事や育児の負担が大きくなっています。欧米の国では負担が夫婦で半々という国もあるそうなので、それに比べると遅れている印象はあります。パートナーが輝き続けるために、一人一人の意識が変わっていけば、スポーツ界にも良い影響が出ると思います。

いつか子どもに、両親が揃って勝つ姿を見せたい

ある意味うちは共働き夫婦なので、二人の試合が被ったらどうしよう・・・という不安はありますね。僕も彼女もオファーが来たら極力断りたくはない。一方で、練習時間は調整できたとしても、記者会見や計量など、2人とも子どもが見られない時間ができてしまうのはまだ怖いです。

とはいえ、いつかは子どもに両親が揃って勝つ姿を見せたいという想いもあります。チャンスに恵まれたら挑戦してみたいですね。そのときは彼女の不安や負担を軽くできるように、今以上に僕も頑張ります。

■杉山しずか選手のインタビュー記事

RELATED

PICK UP

NEW