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疲れたとき、私たちの身体にはどんな変化が起こっているでしょうか。また、積極的に摂るべき栄養素はあるのでしょうか。今回は疲労回復のための食事や栄養素について解説します

疲労とは?

疲労は「これ以上運動や仕事などを続けると、身体に害が及びます」というサインのひとつと言われています。これは、怪我や風邪を引いたときに痛みや発熱が起こるのと同様で、人間の生体における警報なのです。疲労は原因によって3つに大別されます。

トレーニング・運動による筋肉・肉体疲労

筋肉・肉体の疲労は、体を動かすことによって起こります。原因としてはエネルギーの枯渇が大半を占めます。例えば、限度を超えた活動(過度のトレーニングやワークアウトなど)に対し、エネルギー量や体に蓄えられている栄養素が足りなくなると疲れとなって体に表れます。

筋肉・肉体疲労で積極的に補いたい栄養素は、炭水化物やたんぱく質をはじめ、エネルギーを体の中に取り込む際に吸収率を高めるビタミン類や、疲労回復に効果的なクエン酸です。

ストレス・睡眠不足による精神・慢性疲労

精神的ストレス(不安や緊張など)や休養の不足によって疲労を感じると、腎臓に隣接している副腎(副腎皮質)からコルチゾールという(ステロイド)ホルモンが分泌されます。副腎からのホルモン分泌が過剰になると「朝起きられない」「なんとなくだるい」といった倦怠感をはじめ、思考力や記憶力の低下を引き起こす原因になります。

副腎にはビタミンC、ホルモンや脳にはたんぱく質を補うとよいでしょう。

季節の変わり目によるバテ

三寒四温を繰り返した後の春や気圧の変化が起こりやすい梅雨(夏)は、自律神経の乱れが起きやすく疲れやすい時期と言われているため注意が必要です。自律神経は、循環器や消化器などの全身の機能を調整するための神経で、大きく分けて2つ存在します。

  • 交感神経・・・日中や運動時に優位になる
  • 副交感神経・・・夜や安静時に優位になる

季節の変わり目に起こる気温や気圧の変化によって、この2つの神経が不規則に乱れることにより、結果として不調や疲労を感じやすくなります。対策としては、栄養素の強化よりも生活のリズムを整えることが重要です。

いつもより疲れやすくなっているのであれば、睡眠をしっかりとったりマイナスの感情を溜め込まないようにしたりするなど、リラックスして過ごすように心がけてみましょう。

疲労回復にはどんな栄養素を摂るべき?

疲労回復にはどんな栄養素を摂るとよいのでしょうか。

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1.たんぱく質
たんぱく質が筋肉、脳、臓器といった体の原材料であることは有名です。運動後の筋肉・肉体疲労の回復だけでなく、免疫機能の向上やストレス軽減にも関わる栄養素です。

2.クエン酸
クエン酸は食事で摂った糖質や、疲労の原因物質である乳酸を分解し、エネルギーに変換する代謝に関わる物質の1つです。クエン酸回路(※1)がスムーズに進むことで疲労回復が早まるため、スポーツドリンクやキャンディーにクエン酸配合の製品が多いのもうなずけます。また、体内のミネラル吸収サポートや熱中症予防の効果も期待できる栄養素です。

※1:クエン酸回路とは
食事から摂った糖質や、疲労の原因物質である乳酸を分解し、エネルギーに変換する回路。

3.ビタミンB群
ビタミンB群は「疲労回復のビタミン」と言われています。その理由は3大栄養素の代謝を助けてくれるからです。栄養素の代謝がスムーズになることで、疲労回復にかかる時間も短くなります。

  • ビタミンB1・・・糖質の代謝を促す
  • ビタミンB6・・・たんぱく質の代謝を促す
  • ビタミンB2・・・脂質の代謝を促す

4.ビタミンC
ストレスに対する抵抗力強化や疲労回復の効果があります。また、たんぱく質の吸収率を高める作用もあります。

栄養補給で筋肉を元気に!筋肉・肉体の疲労回復におすすめの食材10選

今回は疲労の中でも主に筋肉・肉体疲労に着目します。筋肉・肉体疲労を回復させるために積極的に摂りたい食材をご紹介します。
また、おすすめのメニューを管理栄養士の吉田千穂さんに教えていただきました。参考にしてみましょう。

果物の画像

果物

キウイ
ストレス疲労の予防・回復に必要なビタミンCが多く含まれています。また、腸内環境を改善してくれる食物繊維、筋肉代謝にとって欠かせないミネラルも含まれています。
さらに、鉄分の吸収を促進するため、貧血予防にもおすすめです。貧血になると、酸素が十分に全身に行き渡らず疲労を感じやすくなりますので、月経がある女性は意識して摂るとよいでしょう。

<おすすめの食べ方>
キウイフルーツをヨーグルトと一緒に。ビタミンCとたんぱく質を一緒に摂ることができます。

バナナ
バナナには糖質が多く含まれ、運動前後のエネルギー補給に適しています。忙しい朝や食欲が無いときのエネルギーチャージとしてもおすすめです。運動後は20~30分以内に食べるのが理想的です。

<おすすめの食べ方>
バナナ、豆乳、きなこをスムージーに。エネルギーチャージと良質なたんぱく質補給ができます。。

レモン
キウイと同様にビタミンCを多く含んでおり、積極的に摂りたい食材です。また、クエン酸も豊富なので、疲労回復を促すクエン酸回路をスムーズに回すためにもおすすめです。

<おすすめの食べ方>
レモン、はちみつ、炭酸水を混ぜ合わせたレモネード。、クエン酸と糖分を一緒に摂ることができます。

肉・魚

豚肉の赤身
豚肉に含まれるビタミンB1は、疲労回復のビタミンといわれています。ビタミンB1が豊富なのは赤身なので、バラ肉や肩ロースよりもヒレやリブロースを選ぶとよいでしょう。さらにニラ、ニンニク、ネギと一緒に食べることで、ビタミンの吸収が促進されます。

<おすすめの食べ方>
豚肉をショウガ、Mたまねぎと一緒に炒めて生姜焼きに。ビタミンB1の代謝がスムーズになります。

ラム肉
L-カルニチンを豊富に含んでいます。L-カルニチンは、脂肪を燃焼するミトコンドリア(※2)へ脂肪を運び、エネルギーを生み出す上で欠かせない成分です。不足するとエネルギーが効率よくつくられず、体のだるさや息切れ、疲労感などの症状が表れます。また、20歳をピークに体内で生成される量が減少します。

<おすすめの食べ方>
羊肉をおろしにんにくで漬け込んだ後、オリーブオイルでソテーに。臭み軽減とL-カルニチンの吸収率促進になります。

※2:ミトコンドリアとは
細胞内の構造のひとつで、生命活動に必要なエネルギーをつくり出す役目を担っています。

うなぎ
疲労回復効果が高いビタミンB1が豊富で、他にもミネラルやDHA・EPAなどが含まれています。しかし、脂質が多いため酸味のある食品や緑黄色野菜と一緒に食べるのがおすすめです。消化が促進され、うなぎに含まれる脂溶性ビタミン類の効果がより高まるでしょう。

<おすすめの食べ方>
うなぎときゅうりを酢の物で。ビタミン類と一緒にクエン酸を摂ることができます。

かつお
高たんぱくで低脂質なので、運動後におすすめの食材です。ビタミンB群のほか、鉄分やマグネシウム・亜鉛などのミネラルも多く含まれているので貧血気味の方にもおすすめです。

<おすすめの食べ方>
かつおと香味野菜(ネギ、ショウガ、みょうが)、ごま油で和風カルパッチョに。香味野菜が殺菌や消臭効果を高め、ごま油は食欲を増進します。

野菜

トマト
強い抗酸化作用を持つリコピンやクエン酸を含んでいます。緑黄色野菜に属するトマトは、たんぱく質の吸収率を高める水溶性ビタミンが豊富なので、肉や魚と一緒に食べるようにするとよいでしょう。また「運動の合間のトマトジュース飲用が、運動後の疲労を軽減する可能性がある」という研究データ(2005年7月29日 KAGOME ニュースリリース)もあります。

<おすすめの食べ方>
トマト、オリーブオイル、刺身で、和風カルパッチョに。良質な油とたんぱく質を一緒に摂ることができます。

山芋
山芋をすりおろしたときのネバネバ成分「ムチン」は、たんぱく質を分解する効果があり、疲労回復におすすめです。ただし、ムチンは熱に弱いため、非加熱で食べるようにしましょう。他にも、ビタミンB1、ビタミンC、カリウム、カルシウムなどのミネラルも含まれています。

<おすすめの食べ方>
ご飯の上に、すりおろした山芋と卵黄、わさび醤油をかけて。糖質の吸収を緩やかにしながら、たんぱく質を摂ることができます。

じゃがいも
糖質やビタミンCが豊富に含まれていますので、運動後のエネルギー補給にぴったりです。じゃがいものビタミンCは加熱しても壊れにくいため、肉や魚介類と一緒に調理して食べるのもよいでしょう。

<おすすめの食べ方>
じゃがいもを緑黄色野菜、鶏肉と一緒に煮込んでスープに。すべての栄養素がスープに溶け出し、ビタミン類とたんぱく質を一度に摂ることができます。

まとめ

体が疲れているときは、消化器官に負担をかけない調理法や食材のメニューを選ぶのがコツです。また、食材を単体で食べるのではなく、複数の食材を組み合わせて食べることで、各栄養素の吸収率を高めましょう。

監修者情報

※今回ご紹介した食材やメニュー例は、あくまでも栄養素の観点から積極的に摂りたいものをご紹介しています。疲労回復効果を断言するものではありませんので、ご了承ください。