JISS式とは?覚えておきたいカロリー摂取量の計算法や、糖質・脂質の選び方

食事の写真

トレーニングをする人たちにとって常に課題になるのが栄養源です。何をどれくらい、どのタイミングで摂ればいいのか、難しくてわからない!という人も多いのでは?そこで管理栄養士の佐藤彩香さんが、「B&栄養セミナー」で基本をレクチャー。今回はその中から、カロリー摂取の基本をまとめました。

 

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■教えてくれる人

佐藤彩香さんのプロフィール写真

佐藤 彩香(さとう あやか)

管理栄養士

企業や保育園で栄養カウンセリング、献立作成、栄養計算、店舗運営を経験し、その後に独立。健康を土台とした実践型の栄養サポートを行い、プロアスリート~スポーツキッズ、ダイエット希望の方など累計5,000人を超える人々と関わる。現在はパーソナル栄養サポート、セミナー講師、ライター活動、レシピ開発なども行ないながら、「あなたのかかりつけ栄養士」として活動している。

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エネルギーの必要摂取量と適切な摂取タイミング

トレーニングする女性の写真

筋肉をつけていくには、十分な量のエネルギー源(糖質・脂質)とアミノ酸を含むたんぱく質が必要です。必要な量は運動レベルや男女でも差があります。まずはどのくらいエネルギーが必要かチェックしてみましょう。シンプルに確認したい方は次の表をチェック。

佐藤さん
家でトレーニングしている方は、この表のⅢを見てみましょう!
日本人の食事摂取基準の表

出典:厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)
注:身体活動レベルは低い、ふつう、高いの3段階をそれぞれⅠ、Ⅱ、Ⅲで表している。Ⅰはほぼ外出をしない又は高齢者が当てはまる。

しかし、平均よりもさらにハードな運動をするアスリートの人たちは、しっかり計算式で算出するとベスト。以下のJISS式から求めてみましょう。

 

推定エネルギーの求め方

・JISS式:28.5カロリー×FFM×運動活動レベル(PAL)
・女性アスリートの場合(田口らの式):27.5カロリー×FFM*×運動活動レベル(PAL)+5

*除脂肪量(FFM)=(体重-脂肪量)
*運動活動レベル(PAL)は以下の表を参照

1日あたりの必要エネルギー量の表

この必要エネルギー量は1日あたりのもので、食事などで摂取していきますが、盲点なのがトレーニング前。

トレーニング時に空腹状態だと筋肥大していきません。特に筋トレのような短時間で高強度の運動をする場合は、エネルギーをしっかり摂ること。プロテインだけでなく、エネルギーも忘れずに摂りましょう!

 

エネルギー源①糖質 摂るべき量の計算と質の高め方

 

糖質量は一般的に、1日のエネルギーの約6割で設定します。例えば1日1,700カロリーが必要なら、約1,000カロリー分(250グラム)を摂りましょう。ただし運動習慣があり、強度を意識しながらトレーニングしている人は次のIOCのガイドラインを参考に、体重と運動量によるコントロールを行いましょう。

強度が上がれば上がるほど糖質は必要になり、これが摂れていないと筋肥大していきにくくなっていきます。

B&栄養セミナー資料

運動強度によって糖質量はこんなに変わる!(B&栄養セミナー資料)

では、食べ物にはどのくらいの糖質が含まれているのでしょう?以下は目安ですが、ある程度覚えておくとベター。「必要量の7〜8割を主食で食べられれば、副菜や間食で残りを補うことができると思います」(佐藤さん)

 

糖質の含有量の目安

お米(ご飯1合、330g)110g
食パン(6枚切り1枚)30g
うどん麺(1人前)60g
バナナ(1本)30g
芋(1個、110g)15g
大福(1個)35g

※商品や種類により変動しますが、覚えやすいようざっくりとしたグラム数で記載しております。

さらに質を高めるには、血糖値を急上昇させない「低GI」の食品を選びましょう。さつまいもやそば、全粒粉パンなどが低GI食品です。

B&栄養セミナー資料

白米を玄米に、うどんをそばなどに置き換えるだけ!(B&栄養セミナー資料)

 

エネルギー源②脂質 エネルギー比2〜3割、オメガ3を摂取

脂質の摂取目安はエネルギー比の2〜3割。1日1,700カロリーの場合は、約420カロリー分(約50g)を脂質で摂取します。脂質は1gあたり9カロリーなので、計算すれば必要量がわかります。

脂質はエネルギー源となるだけでなく、ホルモンや細胞膜、核膜を構成したり、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を促す大事な作用があり、コンディショニングには欠かせません。摂取量が偏りやすい栄養素なので、しっかり意識しましょう。

B&栄養セミナー資料

部位が変わるだけでも脂質量は変化します(B&栄養セミナー資料)

また、脂質もやはり「質」が大事。特徴などの見分けがつくようになると良いでしょう。油は大きく3種に分けられます。

飽和脂肪酸」は、肉の脂やバターやラードなど、消化に時間がかかるため蓄積しやすい長鎖脂肪酸と、ココナッツオイルやMTCオイルなど比較的消化吸収しやすく、エネルギー源になりやすい中鎖脂肪酸・短鎖脂肪酸があります。

オリーブオイルが代表的な「一価不飽和脂肪酸」は、からだで合成が可能。多価不飽和脂肪酸よりは加熱などに強いという特徴が。「酸化度が少ないエキストラバージンタイプを選ぶのがおすすめ」(佐藤さん)。

また、食事からしか摂れない「多価不飽和脂肪酸」は、オメガ3(n-3系)とオメガ6(n-6系)の2つに分かれます。特にオメガ3は不足しがち。青魚やサーモン、ナッツ類などに含まれる良質な油で、怪我をしにくいからだを作ったり、血液をサラサラにしたり、さらに脳や睡眠への関連もある油です。

佐藤さん
アトピーや花粉症を含む炎症の緩和にもつながるので、体質改善にもいいと思います。

オメガ3を魚油から摂取する場合は、DHAとEPAを合わせて1日に1000グラム以上摂取しましょう。

吸収面を考えると、魚のほうが動物性なのでからだに入りやすいです」とおすすめしています。熱や光、空気で酸化しやすく、過酸化脂質になるので注意が必要です。また1日に多く摂取するのではなく、必要量を毎日継続して摂取しましょう。

 

脂肪酸の種類

・飽和脂肪酸:バター、ラード、牛豚の脂身、ココナッツ油
・一価不飽和脂肪酸(オメガ9):オリーブ油、キャノーラ油など
・多価不飽和脂肪酸
 オメガ6:コーン油、大豆油、ごま油、グレープシード油
 オメガ3:えごま油、亜麻仁油、魚油

 

エネルギー代謝を活発にするビタミンB群

これまで紹介したようなエネルギーに加え、ビタミンB群を一緒に摂るのがおすすめ。エネルギーの代謝を活発にして疲れをとったり、細胞の新陳代謝を高めたり、ホルモンの分泌を調整して若々しさを保つなどのさまざまな働きがあるそう。エネルギーの効果を高めるだけでなく、からだのためには積極的に摂取したいですね。

 

ビタミンBが多い食べ物

・穀類(雑穀米など)
・ナッツ類
・動物性食品
・大豆製品

B&栄養セミナー資料

足りないと不調の原因にも…(B&栄養セミナー資料)

 

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佐藤さん
エネルギーがしっかり摂れて初めて、たんぱく質や補助食品はどうしたらいいんだろう?というのを考えるべき。エネルギーを見直すだけでかなり変わりますよ!

今一度、ご自身のエネルギー摂取を見つめて、トレーニング効果を最大化していきましょう!

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