「その感情必要?」INAC神戸・スタンボー華を強くした自分との向き合い方。

国内女子サッカーリーグ・なでしこリーグ1部に所属するINAC神戸のゴールキーパーとして活躍中のスタンボー華(スタンボー・はな)選手。2018年のFIFAU-20女子W杯では世界一も経験。2020年度の今シーズンは、INAC神戸でもスターティングメンバーとして定着しつつあります。

彼女の急成長の裏側には、メンタル面での課題克服がありました。どのように自分と向き合い、本番でパフォーマンスを発揮できるようになったのでしょうか?

また、練習自粛期間中も継続して自身のInstagramで発信し続けた理由とは?

「メンタルが弱いけど、どうすればいいのかわからない」と感じているスポーツ女子も多いはず。誰もが取り入れられる自分との向き合い方や、選手の発信に対して感じていることをお聞きしました。

成績向上のカギは、自分と向き合う“メンテナンス”時間

B&編集部
2020年の今シーズン、INAC神戸で開幕スタメンとなり、その後もリーグ戦全試合に出場しました。これまでと比べて、ご自身の中でどういった変化が大きいと感じられているのですか?
スタンボー選手
いくつかの変化が組み合わさっていると思います。今年就任されたゲルト・エンゲルス監督の考えるコンセプトにうまく自分のプレースタイルがはまったことと、パフォーマンスが向上したタイミングが重なって、この結果に結びついていると感じています。

中でも一番大きいのは、フィジカルや技術面というより、メンタル面かなと。

 

B&編集部
メンタル面での変化、というと?
スタンボー選手
もともと、かなり緊張するタイプなんです。2018年のFIFAU-20女子W杯に出場した際も、普段所属しているINAC神戸ではほとんど試合に出ていない中での出場だったこともあり、吐きそうなくらい緊張していましたね。あとは、上手くいかないときに自分を責めすぎてしまうところもあったり。

学生の頃から、本番でのパフォーマンスがメンタルに左右されやすいことは自覚していました。でもずっと、向き合い方がわからなかったんですよね。具体的に何が原因でメンタルをしっかり保つことができないのかもわからないし、何をどうすれば良くなるのかがわからなくて。

 

B&編集部
今まで直視してこなかった部分に、改めて向き合おうと思ったきっかけはあったのですか?
スタンボー選手
新型コロナウイルスの影響で延期になりましたが、本来シーズン開幕日だった2週間前に怪我をしてしまったんです。自分の中でも開幕に向けて手応えがあったので、開幕までに治せるかわからず、怪我をした当初はすごく落ち込みました。

でも怪我をしていたから、練習自粛期間を自分にとってプラスなものにしようとすぐに切り替えることができました。

 

B&編集部
そこで、メンタルに着目したんですね。
スタンボー選手
はい。「自分の弱みはメンタルだ!」と。この機会に、サッカーとは直接関係ないところまで、しっかり自分を見直してみようと思いました。

 

B&編集部
具体的にどういうことに取り組まれたのですか?
スタンボー選手
毎日をどのように、何をして過ごしていて、何を思っているのか、振り返ってみたんです。「その行動、感情は本当に必要?」と自分に問いかけて、必要のないものを削っていきました。

逆に、ただただ静かに瞑想をすることであえて何もしない時間を作ったりもしました。

B&編集部
周囲から「変わったね」と言われることはありましたか?
スタンボー選手
ありました。言われるというより、私自身信頼されていると感じることが多くなりました。

上手くやろうとせずに、ありのままの自分で「とにかく確実なプレーを」と意識しているとパフォーマンスが向上している気がします。

 

B&編集部
プレーをしている中で変化を感じるのですか?
スタンボー選手
そうです。選手として一番嬉しいことですね。

 

B&編集部
「メンタルトレーニング」は、トップアスリートの方だけでなく、誰もが向き合える部分なんですね。メンタルを強化したいスポーツ女子へ、アドバイスをお願いします!
スタンボー選手
静かに自分と向き合うことが何よりも大切だと思います。

特に学生なら、学業にバイトに部活にと、すごく慌ただしいイメージです。普段ならスマホを触っている就寝前の5分を、例えば瞑想に使ってみたり、お風呂でゆっくりする時間にしてみたり。そうやって、何も音もない、ゆっくりと自分を整える時間を作るべきかなと。

「こんなことでいいの?」と思われるかもしれませんが、メンタルトレーニングは特別なことをする必要はないんです。ちょっとした日々の“メンテナンス”時間を作ることが大切です。構えずに、自分を見つめ直す時間を作ってみてほしいです。

“顔”も武器に。きっかけを作り発信する理由

B&編集部
スタンボー選手は、Instagramで積極的に発信もされていますよね。選手として発信する理由や、意識されていることはあるのでしょうか?
スタンボー選手
女子サッカーを知ってもらいたい、というのが一番にあります。

男子と違って女子サッカーは、「プレーが上手」という理由だけでメディアが取り上げてくれることはまだ少ないと感じています。プレーはもちろん、何かプラスアルファの要素があってようやく取り上げていただける部分もあるのかなと。

 

B&編集部
プラスアルファの要素というと…?
スタンボー選手
私は運がいいことに、顔はいい方だと思っています(笑)。使える武器なんです。

もともと女子サッカーを知らなくても、まずは私のことを知ってもらって、そこから女子サッカーを観るようになったという方も結構いらっしゃるんです。とにかく、サッカーに、スポーツに、少しでも興味を持ってもらえればいいと思っています。

 

B&編集部
メディアで、女性アスリートがとりわけ容姿に言及して取り上げられることに対して、どのように感じていますか?
スタンボー選手
正直、違和感を抱いていた時期もありました。選手の実績に触れず容姿だけを評価するような記事や、本人が嫌がるような内容だったりした場合は引っかかりますよね。

結局は、選手本人を思っての記事かどうかだと思います。容姿がサッカーを知っていただくきっかけになりうるなら、使えるものはどんどん使っていきたいので、抵抗はないです。

 

B&編集部
選手自ら、自分なりに発信をすることは大切ですよね。
スタンボー選手
そうですね。ただ一方で私たちだけでは発信力に限界があるので、もっとメディアを活用していくべきだとも思います。選手のSNSのフォロワーは、どうしても女子サッカーファンの方が多く、届けられる範囲が限定されてしまうので。

メディアを使うことに、慎重になりすぎてもいけないかと。今は2021年に女子サッカー国内プロリーグ「WEリーグ」が発足することも決まっていて、盛り上げ時です。なのに、プロリーグが発表された時以外、そこまで話題になっていない気がします。

出し惜しみせず、協力し合って、もっともっと女子サッカー界を盛り上げていきたいですね。

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