プロの定義やスポンサー獲得方法も独特!? 表現者として生きるスノーボーダー

プロスノーボーダーと聞いて、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?今回は、「プロの定義って?」「夏場はどんな活動をしているの?」など、素朴な疑問からコアな質問まで、SHOMAさんとMiyonさんにお伺いしました。

(取材・文:岡田隆太郎)

 

ライセンスよりも影響力がプロの証

ーSHOMAさんとMiyonさんは長年の友人だとお聞きしましたが、せっかくですのでお互いを紹介しあってもらってもよろしいですか?

Miyon
SHOMAくんとは、かれこれ10年以上の付き合いです。2人が所属しているビデオクルーの初期メンバーで、今も在籍しているのは私たちだけ。腐れ縁です(笑)。

ビジュアル的には身長が高くて、スノーボードウェアが映えるし、着こなしに華があるライダーだなと感じました。内面は、努力を怠らず、自分の道は自分で切り拓いていく彼のスタンスを、とても尊敬しています。人柄がよく、人望もあるので常に輪の中心にいる存在で、彼の影響力を羨ましく思うこともありますね。

取材は6月にオンラインで実施しました。

SHOMA
ベタ褒めされたから言うわけではないんですが、彼女は日本で1番うまい女性プロスノーボーダーだと思っています。僕たちのクルーに女の子はMiyonちゃんだけだったんですが、男に混ざって厳しい環境のなかで挑戦してきたから、こそ今の活躍がある気がします。

全然女の子扱いしなくて怒られたこともあるんですが、今はすっかりいいお姉さん的なポジションで、若い子を引っ張ってくれたり、クルーに必要不可欠な存在でもあります。

ープロスノーボーダーの世界に、明確なプロの定義はあるのでしょうか?

日本だと特にないよね?
ライセンス自体はあるけど、実績がなくても取得できるので、資格=プロとは言えないと思います。個人的には、スポンサー契約がある程度獲れていたり、その人自身の影響力といった競技以外の部分も大事かなと。もちろん、人によってはプロ資格を持っている人=プロと言い切る人もいますけどね。

ー資格だけでなく、スノーボーダーとしての知名度や、個人の影響力なども含めて、トータルで「プロ」というのがおふたりの見解なんですね。

特に私たちみたいな表現者サイドのスノーボーダーは、ゲレンデでの影響力や存在感がかなり影響しますし、発信力も必須。「トータルで揃って初めてプロ」みたいなイメージです。それが関係しているか分からないですが、スノーボーダーは我が強くて自己中な人が多いですね(苦笑)。

Miyonさんの写真

こだわりも強いし、ダサい/カッコいいに対しても敏感です。あと、なんとなくヤンチャというか、悪ぶるのがかっこいいみたいなカルチャーもありますね。真面目にコツコツやるというよりも、自由に表現するのがルーツとしてあるので。
そういう意味でいうと、スケートボードやダンスに近いかもね。他のスポーツと比べても、競技<表現の色が強いかも。

ー“悪ぶる”カルチャーから、「スノーボーダーは行儀が悪い」というイメージを持たれてしまうこともあるようですが、実際のところはどうですか?

礼儀正しい選手もたくさんいますが、メディアがそういうイメージを植え付けている気がします。
大きいコンペで成果を出した選手がいても、成績そっちのけで、態度だけを切り取るような悪意しかない報道もあるよね。競技そのものにもっとフォーカスしてもらいたいし、スノーボーダー=素行が悪いという印象は持ってほしくないです。

 

スポンサー獲得の秘訣は運×準備

ー競技を続ける上で大切なのがスポンサーの存在ですが、獲得のために心掛けていることはありますか?

Miyon
自らの売り込みと、実績のある方からの紹介が大きいと思います。加えて、スキルやレベル感が一覧で見れるので伝わりやすいし、今はSNSにどんどん自分の滑りをアップすることでもアピールができる時代です。ただ、レベルの高いコンテンツを投稿しても、フォロワーの反応は少ないこともあります。

トレンド的にも「マネ」しやすさが重要で、数字はそっちのほうが取れます。でも、レベルが低いものだけを投稿し続けるとブランディング的にはマイナスだし、SNSの投稿内容に関してはジレンマに悩んでいる人も多いですね。

SHOMA
どちらか一方ではなく、どちらも必要だよね。コアなファン向けにハイレベルなコンテンツを提供することも大事だし、数字が取れるライトユーザー向けの施策もやらなきゃだし、何事もバランスですよね。

ラッキーなことに、僕は自分から売り込んだりせずに多くのスポンサーさんと出会えました。一般的な獲得のノウハウはないですが、唯一言えるとしたら、スポンサーが多く集まる大会に積極的に参加していたのが大きいかもしれません。

SHOMAさんの写真

運も実力のうちだよね。スポンサーが集まる大会に参加するって本当に大切なことだし。
近道なんてないと思う。運よくチャンスに巡り合えても、ものにできなきゃ意味ないし。目の前に現れたチャンスを掴むためには、日々努力してスキルや知名度を上げたり、自分の実力を証明できる動画をSNSにためておいて、いつでもアピールできる状態でいることが大事。実力をつけることもそうだけど、準備さえできていれば、結果は後からついてくると思います。

 

表現者だからこそ叶う幅広いセカンドキャリア

Miyonさんのイラスト

Miyonさんが描いた二人のイラスト(画像をいただき、B&編集部で加工)

ー少し話が変わるんですが、プロスノーボーダーの方は、引退後にどのようなセカンドキャリアを歩むのが定番なんですか?

SHOMA
スポンサー企業(メーカー)にそのまま就職するのが定番パターンですね。あとは、自分のブランドを持つ人も多いです。気軽に始められるし、やっぱりスノーボーダーって何かを表現したい人が多いから。

SHOMAさんの写真

Miyon
ちなみにSHOMAはなんでソックスブランドにしたの?
日本人は靴を脱ぐ文化があるでしょ?だから、その習性を生かしたかったのが1点。あとはスニーカーが好きだし、みんながやるようなTシャツとかパーカーとかキャップじゃ面白くないなって。誰もやってないことをやりたかったんだよね。

スノーボードとは関係のない領域で自分の可能性を広げたかったから、スノーボード用の靴下じゃなく、あえて日常で使える靴下にしたのもこだわりかな。

ー現役の頃から副業的に始めている選手も多いんですね。

私も、スノーボーダーをしながらデザイナーのお仕事をやらせてもらっています。自分の所属しているビデオクルーの案件を中心に、メーカーさんや雑誌から依頼いただくこともあります。オフシーズンの夏がメインではありますが、シーズン中も余裕がある時はやらせてもらっていて、もう7~8年くらいになりますね。
スポーツ選手にはどうしても引退がつきまとうから、引退後のことを視野に入れて活動する必要性があるもんね。

<後編に続く(7月16日公開予定)>

 

■プロフィール

SHOMAさんの写真

SHOMA

11歳から始めたスノーボードにハマり、13歳の時に単身で北海道に移住。17歳からカナダに2年間留学し、数々のコンペティションで受賞経験を持つ。国内外問わずフィルミングを行うスノーボードクルー”Dirty Pimp”の一員である傍ら、2015年には自身のソックスブランドSUXSOXを立ち上げるなど、その活動は多岐にわたる。

Instagram:@shoma3
SUXSOX Instagram:@suxsox

 

Miyonさんの写真

Miyon

プロスノーボーダー兼デザイナー。思春期にストレスから体調を崩すも、競技を通して出会う人たちとの交流から少しずつ回復し、プロになることを決意。米国雑誌主催の「RIDERS POLL」にて2019年度の新人賞にノミネートされるなど、その実力は折り紙付き。スノーボードクルー”Dirty Pimp”のデザイナーとしても活動中。

instagram:@34miyon34/

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