「恥ずかしがる必要はない」元競泳日本代表 岩崎恭子×竹村幸が生理を語る

写真:左が岩崎恭子さん本人提供、右が竹村幸さん本人提供

競泳史上最年少金メダリストの岩崎恭子(いわさき・きょうこ)さんは、現役時代どのように生理と向き合ってきたのでしょうか。今回は、生理痛や月経不順などの悩みや、海外で感じた生理への価値観の違いについてお話しいただきました。

 

岩崎 恭子さん

競泳競技史上最年少オリンピック金メダリスト(バルセロナ五輪200m平泳ぎ)。1998年に現役を引退。その後米国で児童の指導を学び、現在はスポーツコメンテーターやスイミングアドバイザーとして活躍。2021年にGOLD  PROJECTを立ち上げ、ご自身のアスリートや子育ての経験を通して、子供の体、心づくりの大切さを伝えている。

竹村 幸さん(聞き手・文)

元競泳日本代表。2010年アジア大会で銅メダルを獲得し、2020年に現役を引退。運動誘発性小麦粉アレルギーやPMSを抱えながら現役を続けていた経験を活かし、引退後は水泳コーチとしても活動中。

 

タンポン、低容量ピル。五輪前には生理不順にも

竹村 現役時代、私は生理によく悩まされました。岩崎さんはいかがでしたか?

岩崎 私は幸いにも症状が重くなかったんです。あとは生理について話すことを恥ずかしいと思っていませんでした。若いアスリートから「生理についてオープンに話しにくい」とよく聞きますが、正直驚いている部分もあります。

 

竹村 「コーチに相談しにくい」と話す女性アスリートは多いです。岩崎さんはコーチと相談されたことはありましたか?

岩崎 コーチには伝えていませんでしたね。恥ずかしいからではなく、「当然理解してもらえるだろう」と。

合宿などで先輩に聞いて情報収集していました。その影響もあって、タンポンは中学生の頃から使用していたんです。

 

竹村 早いですね!水から上がったときに血が垂れやすいので、タンポンは便利ですよね。初めて使用された際、怖くなかったですか?

岩崎 好奇心もあっていろいろと教わっていたので、怖さはなかったです。

 

竹村 生理と試合が被ってしまうこともあったと思いますが、どのようにコンディションを整えていましたか?

岩崎 実は試合日に生理になることがあまりなかったんですよね。

でも生理不順にはなりました。高校3年時のオリンピック選考会とオリンピックの時は、生理がこなかったです。原因は、緊張と過度な練習だと思います。その後も何度か生理不順になりました。

 

竹村 試合前は、特に不順になりやすいですよね。低容量ピルを服用されていたのですか?

岩崎 23歳ごろから服用していました。日本では病院に行くことをためらう方も多くいますが、私はすぐに病院に行くタイプ。「いつもと違うとおかしいでしょ!」と。

竹村 私も原因を知りたいので、すぐに病院に行くタイプです!

生理について相談できずに悩んでいる女性アスリートも多いと思います。アドバイスを送るなら、どういったことを伝えたいですか?

岩崎 生理について話すことを、恥ずかしがる必要はありません。身近な人に相談しづらいなら、相談窓口などに連絡してみるのもひとつかと思います。

あとは、周囲の理解も必要ですよね。男性も生理を理解していけば、相談しやすい社会になっていくと思います。

 

「恥ずかしがる必要はないんだ」

竹村 アメリカへ留学された際、生理への価値観の違いは感じられましたか?

岩崎 みんな生理を隠さないことに驚きました。恥ずかしがる感覚がないんですよね。初めて海外の更衣室に入った時は、カルチャーショックでした。

 

竹村 私も初遠征での更衣室は驚きました!私は留学中、現地の生理用品が合わなくて日本のスーパーで購入していたのですが、岩崎さんは海外製のものを使用されていましたか?

岩崎 ナプキンはアメリカ製のものを使っていましたが、タンポンはどうも合わず……日本製のものが良いですね。

年齢と共に皮膚がかぶれにくくなったり、血液の量も変わったので、今では布ナプキンや一体型ショーツも活用しています。

 

考えて、覚悟してライフステージと向き合うこと

竹村 近年現役選手の寿命が伸びていることは、女性アスリートにとって悩ましくもあります。出産にはタイムリミットがありますし、悩んでいる方も多くいらっしゃると思いますが、現役中どのように考えられていましたか?

岩崎 その通りで、女性には必ずタイムリミットがあると思います。自分の体を知ることも大事ですし、変えられないこともあります。自分のことを理解して、覚悟して向き合うことが重要かなと。

竹村 覚悟……。大事ですよね。

岩崎 考える力も必要になってきます。失敗も勉強だと思って、経験をたくさん積んでいって欲しいです。

竹村 はい!本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!

 

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